*2017/09/08 更新
今回のタイトルは…「炭水化物、栄養学的に説明できますか?」です。
今回は炭水化物の役割について書いています。
炭水化物も普通に摂るのが一番です。
摂らなすぎるのもだめ、摂りすぎるのもだめ。
適度が一番です。炭水化物様は5大栄養素のうちのメインの1つです。
もちろんいろんなダイエットはありますが、全く摂らないのもだめ、摂りすぎるのもだめ。
「ヘルシー」というパッケージをかたるのダイエットっぽい食品にも騙されないように、成分の裏面を見る癖を。
http://www.yukinfitness.com/entry/2017/02/03/181953
上の記事の知識があるとこれから話をすることについて「おお!何か話がわかる」ってなるので、必ず上の記事を読んでから挑戦してみてくださいねん。
コンテンツ
炭水化物の役割のおさらい
さて、炭水化物の役割を簡単におさらいしてみましょう。
炭水化物の役割を車🚗で例えると…
- たんぱく質:車体などの本体
- 炭水化物と脂質、タンパク質:ガソリン
- 脂質:タイヤの弾力や車体のつや
- ビタミン&ミネラル:車の潤滑油
- ホルモン(≒神経伝達物質):車のブレーキとアクセル
炭水化物は車で言う、ガソリンです。
ガソリンはエネルギーです。
エネルギーがないと、体が動けなくなります。
ちなみにガソリンは、タンパク質と脂質でも代用できるのですが、これは後で少し触れてまたいつかの記事でゆっくり触れます。
カーボローディングって何?
ランナーがレース前に炭水化物を摂取したり、ボディビルダーの人が大会の前に炭水化物を大量に摂るのは「カーボ・ローディング(Carbohydrate Loading)」といいます。
これは、ガソリンスタンドでガソリンを満タンに充填する意味からきています。
ちなみに、カーボは炭水化物。
ローディングは「読み込む、充填する、積む」という意味。
体のガソリンは炭水化物の他にも「脂質・タンパク質」も。
体のガソリン「エネルギー」となる栄養素は、炭水化物(糖質)以外にも脂質・タンパク質があります。
ただしここにはありとあらゆる条件や注意書きが…
- 基本的にエネルギーとして使われるのは炭水化物(糖質)。
- 食物繊維はほぼエネルギーにはならない。
- 脂質をエネルギーとして使われるためにはβ酸化という「酸素を大量に消費する反応」が必要。
- 少しのエネルギーの欠損であれば、体脂肪がエネルギーとして使われる。
- 食事がずっと不十分の場合、タンパク質や血球を壊してアミノ酸にして、それをエネルギーにする。
- つまり炭水化物がゼロぐらいに足りないと、糖新生(糖質を新しく作る)作用として、筋肉のアミノ酸からエネルギーにしてしまう。
- 糖質をとらないと、タンパク質がエネルギー源となり、体を作る方にタンパク質が回されず、エネルギーとして使われるため、筋肉量が減る。
- 生きるために必要なエネルギー確保のためにタンパク質を利用する、というイメージ。
※この話をすると糖新生とか、ケトン体の話とかしないといけないのですが、ケトン体ダイエットは、糖質を極端に制限して、
ブドウ糖ではなく脂肪を燃焼させて「ケトン体」というエネルギーで体を動かすことです。
本当にざっくりとした説明なので、細かい話をするとぶっちゃけ間違ってるのでこれはご容赦をば…。
これもまたいつかの記事で触れます。
知っておきたい名前の炭水化物の豆知識
- 1g=約4kcal。
炭水化物を構成する元素(もとになるもの)
- 炭素(C)、水素(H)、酸素(O)
炭水化物の名前を分解すると、炭素・水分子が化合(混ざった)したものという意味です。
昔は炭素原子(C)と水分子(H2O)で構成されているようなものと考えられていたのでこんな名前になりました。
怖がる必要はない、炭水化物分子の話
分子=とりあえず一番ちっちゃい。
いろんなものの元になってるもの。という認識でOKです。
料理でいうと、カレーの原材料のジャガイモや肉が分子みたいなイメージ。
※これあくまでわかりやすくざっくり言ってますので、大注意。
ちなみに、炭水化物と糖質って違うの?
炭水化物の一種に食物繊維もあります。
カロリーはほとんどありませんが、ゼロではないものも。
式にすると、下記のとおり。
- 炭水化物= 糖類 + 食物繊維
※糖質=消化酵素で消化することができ、エネルギー源として利用されるもの
※食物繊維は消化酵素で消化ができません。
炭水化物をさらに整理するとこんな感じ
炭水化物の分類の難しいところは、「炭素分子がどれぐらいくっついてるか?」という話です。
これは「小さいの・中ぐらいの・大きいの」の3つに分かれるという認識さえもっていればOK。
- 炭水化物 = 糖質(単糖類、少糖類、多糖類) + 食物繊維
- 糖質=単糖類(1個だけ) + 少糖類(二糖類、三糖類…2-10個位まで) + 多糖類(とにかくたくさん)
- 大きさは、「単糖類(小)→少糖類(中)→多糖類(大)」
炭水化物のとりすぎについて
炭水化物はエネルギーとしてすんごく大事です。
とらなさ過ぎるのもだめ、でも炭水化物もとり過ぎると脂肪になります。
健康食として、良かれと食べているものでも、とり過ぎるとだめです。
最近のツイートで反響があった、フルグラの成分も見てみましょう。
これも取りすぎるとカロリー過多になります。
フルーツグラノーラ
フルグラは「高カロリーな栄養バクダン」みたいなもんです。
50gで221kcal。糖質は31.6gあります。
タンパク質は3.6g。脂質は7.9g。
ビタミンなども入っていて、栄養はありますが、これを朝食以外にバカスカ食べるとやばい。
なかなか太れない人にはおすすめです。
ちなみに50gでこれなので、100gぐらい食べるとかなりカロリーが高くなります。
しかもフルーツグラノーラと言われるぐらいなので、ドライフルーツ「果糖」がたくさん入ってます。
果糖は肝臓に直接輸送されるので、中性脂肪になりやすいです。
内容物は一見健康食品っぽい。
けど、これほとんど上位に来てるのは麦や小麦粉、果物の「炭水化物」です。
そしてナッツ類の「脂質」、最後に気持ちビタミンが入っています。
内容物は、
- オーツ麦、ライ麦粉、砂糖、乾燥果実(パパイヤ、レーズン、りんご、いちご)、小麦粉→ここまで炭水化物メイン
- あとに続くのは…ココナッツ、マルトデキストリン、植物油、米粉、水溶性食物繊維、コーンフラワー、かぼちゃの種、アーモンド、食塩、小麦ふすま、玄米粉、グリセリン、加工デンプン、クエン酸鉄Na、乳化剤、酸味料、酸化防止剤(ビタミンE、ローズマリー抽出物)、ナイアシン、パントテン酸Ca、カゼインNa(乳由来)、ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンA、葉酸、ビタミンD、ビタミンB12)。
いろんな栄養素が入っていていいのですが、たった50gにこんなに大量のいろんな栄養素が入ってる=高カロリーになります。
普通におにぎりだと84kcalしかありません。
フルグラは50gで200kcal前後あります。
しかもここに牛乳やヨーグルトを加えると、とんでもないカロリーになります。
こんにゃくゼリー
こんにゃくゼリーはヘルシーというイメージの「炭水化物のかたまり」です。
そしてエネルギーは25kcalあるので、1袋食べると300kcalに。
エネルギー25 kcal、たんぱく質0 g、脂質 0 g、糖質 6.2 g、食物繊維 0.4 g。つまりほぼ炭水化物(糖質)です。
そして極めつけはぶどう糖果糖液糖は、果糖含有率(糖のうちの果糖の割合)が 50% 未満のものと定義されていますが、果糖がばっちし入ってるってことです。
ブドウ糖果糖液糖は果糖を更に嫌な感じにしたもの、とおぼえていただければOK。
内容物は、ぶどう糖果糖液糖、砂糖、果汁(ぶどう、りんご)、洋酒、デキストリン、こんにゃく粉、pH調整剤、酸味料、ゲル化剤(増粘多糖類)、香料
私なら内容、成分、味ともに食べるメリットを感じないのでわざわざ買うことはないですね。
(ここまでバシッといって、クレームのメールが来ないだろうか…)
まとめ
糖新生の話、食物繊維やら、果糖の話やら、β酸化や、単糖類の誘導体(アミノ酸糖、ウロン酸、糖アルコール)、ケトン体やらなんやら色々説明したいことがたくさん・・
いつも通り、ただ結論は「とりすぎも、とらなすぎもダメ」
参考文献
- http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042632.pdf
- http://www.chugaiigaku.jp/upfile/browse/browse1555.pdf
- http://www.cc.okayama-u.ac.jp/~jo25/print/02n2.htm
- フルグラ | カルビーのシリアル | カルビー株式会社
- ぶどう味|蒟蒻畑|商品ラインナップ|株式会社マンナンライフ
- 料理の科学〈1〉素朴な疑問に答えます
- のほほん解剖生理学
- 改訂新版 いちばん詳しくて、わかりやすい! 栄養の教科書
- イラストレイテッド ハーパー・生化学 原書30版 (Lange Textbook シリーズ)
- 「日本人の食事摂取基準(2015年度)」策定検討会審議会資料 |厚生労働省
- 日本食品標準成分表2015年版(七訂):文部科学省
- 平成26年「国民健康・栄養調査」の結果 |報道発表資料|厚生労働省
- 食品成分データベース
- 好きになる栄養学 第2版 (KS好きになるシリーズ)
改訂新版 いちばん詳しくて、わかりやすい! 栄養の教科書
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- やさしくわかる 栄養の本 健康な食事の正しい知識
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- 新版 薬剤師がすすめるビタミン・ミネラルのとり方
- 炭水化物のすべて: 山本義徳 業績集1
- 脂肪酸とケトン体 ~糖質制限ダイエットの科学: 山本義徳 業績集 4