「たんぱく質は大事」っていうことは浸透してきて、最近多くの人がたんぱく質を意識してくれています。
けれど「何故たんぱく質が大切なのか」って構造から一緒に考えてみたいなあと思ってこちらの記事を書きました。
「そもそもたんぱく質って何?」っていう根本を知ることで、今のDietに役立てていただければ幸いです。
今回は…「摂って欲しいたんぱく質はコレ!たんぱく質の基礎を解説」です。
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そもそも「たんぱく質」ってなんだろう?
たんぱく質は英語にすると「プロテイン」。
起源はギリシャ語「Proteus(第一のもの)」
人間の体は水78%の無機物を除けば、それについで多い20%構成となっています。
ここで覚えたいのは「たんぱく質って体の中にめっちゃ多いやん」です。
めっちゃ多いたんぱく質は体の中でいろんな役割を果たしています。
酸素を運ぶ:ヘモグロビン
体をつくる:コラーゲン(皮膚)、ケラチン(爪、髪)、クリスタリン(目の水晶体)
運動する:ミオシン(筋肉)、アクチン(筋肉)
化学反応を起こす:酵素アミラーゼ(だ液)、ペプシン(胃液)
体を守る:免疫グロブリン(抗体)
……などなど。
他にもいっぱいありすぎて書ききれません。
ぶっちゃけここで覚えて欲しいのは「たんぱく質めっちゃいろんな役割しとるやん。たんぱく質すげえ」だけで大丈夫です。
たんぱく質の原子の話 S(硫黄)
たんぱく質を摂りすぎると甘ったるい腐敗臭のようなおならがでます。
それはなぜなのか?

たんぱく質は、下の元素で構成されています。
【C(炭素)・H(水素)・O(酸素)・N(窒素)・S(硫黄)】
ちなみに、糖質と脂質はエネルギーになるので、【Co2(二酸化炭素)】【H2O(水)】になりそのまま体を動かすエネルギーとなります。
化学式で言うと「糖質と脂質→エネルギー&二酸化炭素&水」です。
※糖質と脂質は【C(炭素)・H(水素)・O(酸素)】
たんぱく質には、エネルギーだけではなく、S原子も含みますね。
S原子=硫黄、「硫黄(いおう)」の臭いなのです。
たんぱく質の原子の話 N(窒素)
更にたんぱく質はN(窒素)も含みます。
窒素を取りすぎると、肝臓さんや腎臓さんなどの内臓の仕事量が増えて、「ちょっとしんどいっす」状態になります。
取りすぎたたんぱく質は、アンモニアの処理量が多すぎて内臓さんたちがキャパオーバーに。
下のようなルートですね。
「N(窒素)」
↓
「アンモニア(有毒)」
↓
「尿素」
ちなみに厚生労働省ではたんぱく質の上限は決めていません。
実際体重の4倍ほどのたんぱく質を摂取する方もいるそうです。
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042630.pdf
アミノ酸って知ってますか?
ここで大事なのが「アミノ酸」。
「アミノ酸って聞いたことあるけど何?」って人も多いと思うのです。
アミノ酸はたんぱく質の最小単位です。
アミノ酸がいっぱい集まって、たんぱく質になります。
下の図を見てみましょう。
たんぱく質(大)→ポリペプチド(中)→アミノ酸(小)

※端折りましたが、「たんぱく質→ペプトン→ポリペプチド→アミノ酸」など更に細かくできます。
覚えておいて欲しいのが特に「大きさ」です。
プロテイン・BCAAの飲み方に関わってきます。
BCAAはアミノ酸でできていて、「小さい=分解に時間がかからない」です。
=「吸収率が早い」です。
プロテインはたんぱく質です。「大きい=分解に時間がかかる」。
=「吸収率がBCAAに比べれば遅い」です。
他の記事でプロテイン、BCAAの飲み方を解説していますが、プロテイン、BCAAの違いは吸収率の速さが違います。
アミノ酸の種類ってあるの?
必須アミノ酸は体の中で作れません。
だからこれは食品でとる必要があります。
必須アミノ酸
バリン、ロイシン、イソロイシン、リジン、メチオニン
トリプトファン、フェニルアラニン、スレオニン(トリオニン)、ヒスチジン
自分でも作り出せるアミノ酸もありますよ
グリシン、アラニン、セリン、プロリン
アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、システイン、アルギニン、チロシン
特に「必須アミノ酸」は覚えておくといいです。
この必須アミノ酸は「チームワーク」で働くので、一つでも欠けると全体の利用効率が下がってしまいます。よくある連帯責任的な。
「バリン!お前ができねえなら、全員処罰な」的ないじめ。
そんなことも体で起こってるなんて悲しみ。
アミノ酸スコア、プロテインスコアって何?
「アミノ酸スコア」と「プロテインスコア」。
勉強している人で「アミノ酸スコア、プロテインスコア」を聞いたことがある方もいらっしゃると思います。
これは人間の体にとっていいたんぱく質の配合の食品の目安になります。
アミノ酸スコアの方が基準がめちゃ緩い。
どちらも100が最高です。
スコアが高いと食べたら良いって訳でもないです。
むしろ低くても組み合わせて100に近づけることもできます。
闇雲にスコアが良いからって、脂質が多いとカロリー過多になります。
スコアとかPFCバランスとか、細かいことを気にし始めるとと結構面倒ので、「ああこういうのがあるんだな〜」ぐらいでおいておく方が精神衛生上にはおすすめです。
気になる人はGoogle先生へ。
実践編
1日どれぐらいのたんぱく質が必要?
「まあこれ食べておけば大丈夫でしょ」って食品を紹介するので、バランス良く食べていれば問題無いです。

1日のたんぱく質の理想の量
もちろん量の問題もあるので、大体1日体重×1.7g前後のたんぱく質を摂ってください。
1日単位でたんぱく質を計算する人がいて、お腹いっぱいなのにたんぱく質が足りないから無理やりプロテインなどで追加する人がいます。
無理に食べる必要はないです、意識して食べるだけでOK。
動物性たんぱく質の注意

- ミンチなどではなくそのままの素材で食べること。原型が見えるのが一番良いです。
- なるべく赤みが多い肉を選択。パックによって微妙に違います。
- 食べる目安は「片手、手のひらぐらい」です。両手ぐらいだと多いです。
- スルメイカや生ハムなどは塩分高めなので常食は✖︎。困った時などのおやつには良いです。
- 低脂肪高タンパクのものばかりです。糖質制限している人は当てはまらないものもあります。
- 煮物などにしてしまうと、醤油×砂糖×味醂などでカロリーが高くなるように、なるべくシンプルに食べてください。
2020/03/08 補足
塩は摂ってください!!!!!この時から変わってます。
食べて欲しい低脂肪たんぱく質〜動物性編〜

鶏肉(ムネ、ささみ、もも)
※欲を言えばももはちょっと脂肪高め。皮はNG。
牛肉(ヒレ、ホホ、肩、もも、そともも、ランプ、すね)
バラ、サーロインやリブロースは脂肪が多いです。
豚肉(ヒレ、もも、肩)
ロース、豚トロ、バラなどは脂肪が多いです。
レバー
レバーは普段食べない人はなるべく意識して食べたいです。
ビタミンもたっぷり!
魚介類(タラ、マグロ、サバ、イカ、タコ、エビなど)
魚介は全般OK。減量の時は脂がのってる魚は控えめ。
植物性たんぱく質の注意
- メインは必ず動物性。植物性たんぱく質は基本的にはサブです。動物性たんぱく質の方がプロテインスコアが高いです。
- 脂質が高いため、カロリー高いので、ヘルシーと思って食べ過ぎる人もいます。
- 味付けの濃い感じで食べがちなので、ナッツ×塩分、枝豆×塩分、納豆×タレ、のようにソースやドレッシングなどの塩分に気をつけてください。
- イソフラボンのとりすぎ注意。
食べて欲しい低脂肪たんぱく質〜植物性編〜
枝豆、豆腐、納豆、大豆粉、豆乳、黒豆
油揚げ、ナッツ系、ごま、湯葉、きな粉など。
まとめ
たんぱく質は体にとってなくてはならないものなので、必ず食べてください!
お悩み相談ではほとんどの人がたんぱく質が足りていません。
ただし内臓に問題があったり、調子が悪い人は必ずお医者様に相談してくださいね。
参考文献
- 進化系男子の栄養学
- 好きになる分子生物学 (KS好きになるシリーズ)
- やさしくわかる 栄養の本 健康な食事の正しい知識
- アスリートのための分子栄養学
- タンパク質とアミノ酸 前編: 山本義徳 業績集 2
- タンパク質とアミノ酸 後編: 山本義徳業績集 3
大学入試 山川喜輝の生物基礎が面白いほどわかる本
- ワトソン遺伝子の分子生物学 第7版
- 〈東京大学教授〉石井直方の新・筋肉まるわかり大事典 (B・B MOOK 1249)
- http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042630.pdf